まったりのったりぐでぐで日記

本ブログは、一人三役でお送りする日記もどきです。
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没展開その一

「捨ててきなさい」
「想像してたけど早っ!」
「みゅ! みゅう!」
 竜を連れて家に入った途端に言われ、僕達は思わず母さんに突っ込みを入れてしまった。
 が、母さんは気にした様子も無く、僕の肩の竜に包丁の切っ先を向ける。
「私のセンカを独占しようなんて言語道断! たとえ相手が竜の子供だろうと容赦はしないわ!」
「……ねえ母さん。やっぱりこいつ、竜の子供なの?」
 母さんの台詞は色々と突っ込みどころ満載だったが、僕はいつものように前半をスルーした。
「ん? ええ。私の記憶が間違ってなければ、不死竜っていう竜の子供よ。見た感じ、生後一月ってとこかしら。人間を遥かに凌駕する知能の持ち主で、成長するとその大きさは数十mになり、高い魔力も備えるとか。最強の竜とも言われてるわね。けど……」
「けど?」
 何故だか声のトーンが低くなる母さんに、僕は先を促した。
「……まさか、あの大規模な討伐から生き延びたのがいたとは……驚いたわ」
「……討伐?」
 僕の背筋を、嫌な汗が流れた。何だ? 母さんは何を言っている?
 母さんは悲しそうな顔をしながら……不死竜の事を語った。
「……不死竜はね、強すぎたのよ。別にそれで実害があったって訳でもないんだけど……気性が荒く、誰一人として制御出来なかったことから存在を危険視されて、十年くらい前に皆殺しにされた。……その子はおそらく、唯一の生き残りでしょうね」
「……誰が……?」
 自分でも分かった。震えている。僕の声は、怒りで震えている。僕の体も、怒りに支配されかけている。
「誰が……そんな事をしたの? こいつの仲間を殺したの? そんな一方的に……誰にも、誰かの居場所を奪う権利なんか無いのに!」
「……センカ……」
「許せない……! 誰かの居場所を奪って、誰かをいっぱい傷つけて笑ってるなんて、絶対に……あ」
 不意に、母さんに抱きしめられた。体の震えが、ふっ、と収まる。
「……落ち着きなさい。そもそも、不死竜を討伐した奴等は首謀者を含めて全員死んでるわ。……九年前、シクラス王の命令によって動いた、シクラス五大名家の騎士達に殺されて、ね」
「シクラス五大名家の……」
 シクラス五大名家。詳しくは僕も知らないが、五つの騎士達の名門一族であり、それぞれが精霊と契約を交わした精霊魔法の使い手であるらしい。この広大なシクラス大陸がたった一つの国家によって統治されている事からも、王に仕えている彼等がいかに尊敬と畏怖の念を集めているかが分かる。
「首謀者達は救世主を気取っていたわ。化け物を排除し、人間による人間だけの世界を創るとかどうとか……その結果、シクラス五大名家の当主達の怒りを買い、彼等の進言によって下された王の命によって、騎士達は彼等を捕縛、処刑した。……だから貴方が怒る事は無いのよ。落ち着きなさい、ね?」
「……うん」
 宥められ、ようやく僕は落ち着いた。竜が、僕の顔を覗き込む。
「みゅう……」
「……うん、大丈夫。もう、落ち着いた。ごめんね、叫んじゃって」
「みゅ」
 気にしてない、と言うように竜は首を横に振った。僕は微笑み、竜の首に触れる。
「みゅうう~……」
 気持ちよさそうに鳴き、竜は目を細めた。
「あ、首が気持ち良いんだ。ふふ、猫みたいだね、君は」
「みゅう……」
 すりすり、と竜が僕に甘え、思わず僕の顔も緩む。そんな僕等を見て、母さんは溜息をついた。
「……前言撤回。別に良いわよ。飼っても」
「え……良いの? 母さん」
「みゅ?」
 僕達が聞き返すと、母さんは頷いた。
「ええ。……なんだかセンカにやたら懐いてるみたいだし。それに……今まで独りぼっちだったんでしょうから」
「独り……ぼっち?」
 そうだ。この子が唯一の生き残りであるのならば……この子はこの広い世界にたった一人。
「みゅ………」
 僕がじっと見つめていると、寂しそうに竜は鳴いた。僕と同じ、不条理な迫害を受けた種族の最後の生き残り……。
「僕と同じ……僕の、仲間」
 だからなのか。必死に僕を助けようとしてくれたのは。尊厳も何も無く、僕に飼って欲しいとせがむのは……。
「みゅ……」
 独りは嫌だ。お願い、助けて。ペットという形でもいいから、傍に置いて……。その寂しそうな目は、そう語っている気がした。
 傲慢かもしれない。でも……独りであるという事の寂しさを……化け物の僕は、何となく理解出来た。決して、この子を独りになんかしたくない。
「……でもやっぱり、竜を飼うだなんて気が引けるなあ……」
「みゅっ!? みゅみゅっ!?」
 僕が空っとぼけた口調でぽつりと呟くと、面白いほど竜は慌てた。
「みゅ! みゅみゅう!」
「うん……君と僕は同じ穴の狢で、仲間で……対等なんだから♪ 友達になろうよ。ペットと飼い主なんかじゃなくて、さ」
「みゅ?」
 涙すら浮かべながら、必死に僕にすがり付いていた竜は一瞬何を言われたか理解出来ないという顔をし……理解した途端、炎を吐く勢いで怒り出した。
「みゅう! みゅうう!」
「ははっ、ごめんごめん。そんな怒らないでよ、ね? 友達でしょ?」
「みゅ……みゅ」
 竜は困った顔をし……仕方ないなあと言わんばかりに、僕の掌を甘噛みした。その後、すぐにそこをぺろぺろと舐める。……良く分からないが、竜なりの愛情表現らしい。
「……みゅ」
 竜は僕の掌に乗ったまま、深々と頭を下げた。
「うん、これからよろしく。……初めての……僕の、友達……」
 その竜を、僕はそっと撫でた。
「………」
 そんな僕を……母さんは、複雑な顔で見つめていた。
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  1. 2006/02/05(日) 18:07:23|
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